必要資金を投資してもらうため株式を発行!投資家への責任が生じます

企業家は事業を始めるにあたり株式を発行して投資家がそれに投資することにより事業資金を調達します。これが資本金になる訳です。優れた技術やビジネスプランでもあれば投資家は投資しますが、普通は投資してくれる投資家を探すのは至難の業ですので、多くの場合には企業家自らが投資して事業を起こすのが普通です。事業が拡大して更に事業を拡大する場合、資金の調達には様々な方法が有りますが株式を追加で発行して更に大きなお金を投資家から集める方法も有ります。これを増資と言います。

投資家は何を期待しているのか

投資家は慈善事業として投資しているわけではありません。当然利益を追求するために投資するわけです。利益を得るには大きく2つの方法が有ります。まず1つ目は事業が成功して利益が出れば投資家には持ち株数に応じて配当が出たり株主優待が受けられるようになります。投資家の中にはこれを期待して多数の企業の株式を保有して大きな利益を得たり株主優待でいろいろと楽しんだりしている人もいます。しかしこれらの利益は限定的です。

上場によって莫大な利益を得る

多くの投資家の目的は株式を上場した場合の莫大な利益です。株式を何らかの市場に上場すれば株の値段は市場によって決められます。特に利益が上がっていれば株価も上がっていきます。これは投資金額の何十倍何百倍にもなる可能性が有ります。適当なところで売ればそれが投資家の利益になる訳です。たとえば自前で資金を調達して会社を興し株式を上場に持ち込んだ経営者が、手持ちの株式の一部を売ればたちまち億万長者と言う訳です。

上場予定が無い場合

上場予定が無いような場合には、投資家は前記のような莫大な利益を生む機会は無い訳ですから、何か別の利益が見込めるのであれば別ですが、そんなところに投資することはまずありません。したがって株式を発行して資金を調達しようと考える企業は将来上場する前提が無ければなりません。しかも投資家を募る場合にはその計画と時期も説明しなければなりませんし、予定通りにいかなければそれが問題にされることも覚悟する必要が有ります。

投資家への責任が重要になる

企業の基本は利益を追究してそれを株主に分配することです。株主とは株式を購入した投資家ですから、経営者は企業を成長させて投資家を儲けさせる責任が有るわけです。したがって経営判断を誤って会社に不利益を与えてしまった経営者は株主から責任を追及されます。これが訴訟になるのが最近よく聞く株主代表訴訟というわけです。したがって株式を発行することによって資金を調達するのは良いですが投資家への責任が増えることを忘れてはいけません。

乗っ取られることもある

また投資家は株主総会で経営に対して提案することもできますから大きな株式を保有していれば事実上企業を思うように操り、場合によっては経営者を自分の言いなりになる人に置き換えることも可能です。要するに株式の発行は乗っ取りに利用されることも無いとは言えない訳です。したがって資金の調達方法として株式を発行する場合にはその影響を予め良く調査しておくことが重要になります。安易に行うと自分の首を絞めることにもなるのです。

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